2009年10月13日

日本鍼灸師会の全国大会

日本鍼灸師会の全国大会に参加するため連休は東京にやってきました。
「非特異性腰痛の病態と治療」ということで、福島県立医科大学の先生がまず講義をしました。
 以前にも県立医科大学の先生の講義を受けたことがありますが、この2、3年で腰痛に対する概念が大きく変わったようです。
 まず急性と亜急性、慢性の違いが不明瞭になりました。そして遺伝的、社会的、心理的な要因が問題視されています。

箇条書きにしますと

○重量物を持つ作業は腰に有害といえない。
○慢性腰痛の痛みは、小児時の虐待や精神的なストレス、リストラなどが大きく関わっている。
○椎間板ヘルニアを有する症状では、明らかにストレスが多く関わっている。
○疼痛反応は心理的な要因でギャバが関与している。
○痛みを想像するだけで痛みを感じてしまう。
○腰痛と肥満の関連性は不明瞭。
○安静がいいとは限らない、かといって動いた方がいいかわからない。(結局患者の選択)
○がんを除外すれば治療はいらない。
○6ヶ月まではコルセットを装着しても筋力は低下しない。
○マットレスの硬さと腰の痛みには関連がない。(硬いほうがいいわけない)
○運動療法はやらないよりやったほうが良いぐらい。何をどこまでやればいいのかデータがない。
 ただ筋の拘縮がとれる効果がある。免疫機能が高まる。


 う~ん。わかるわかる。わかるなぁ~。臨床所見と本人の痛みがまったく合わないことばかりです。例えばたいしたことがない所見でも
ものすごい疼痛を訴える。本人は痛い。痛みは客観的に評価できないし。

 そして医療従事者のコミュニケーション能力によって患者の満足度が変わるという論文もあります。
ということは慢性腰痛の場合、より効く治療を追及するより、コミュニケーション能力を高めたほうが患者さんはよく治ります。

 そしてプラシーボ効果が治療効果に大きく関与していることも明らかにされつつあります。そしてプラシーボは価格が高い治療より効果があるとのことです。

まとめとして先生は
 患者さんの訴えを良く聴くこと。くどいくらい重篤でないことを説明をすること。共感と安心を与えることが一番重要で、どの治療がいいのか患者が選択することが一番良い治療だと言いました。

ということは
慢性的な腰痛を抱えている場合、自分がストレスを改善できる方法を選択するのが一番いいです。休んで寝てもいいし、仕事や作業してもいいし、ひとそれぞれ自分がリラックスできる時間を増やすことが重要だということです。人間の体って結局、脳でコントロールされてるなぁ。

 この講義を学生さんや検査法を勉強しにきている先生が聴いたらやる気なくしそうですが、病態把握や自信を持った説明は、患者さんに共感と安心をもってもらうにはとても重要なことですし、重大な疾患を除外、鑑別には勉強が大事です。

この講義にはとっても共感。



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Posted by あつ姫山形 at 02:11│Comments(0)日記
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